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これまでの組合活動の成果

 

2005年度に、桜美林で成果主義賃金制度の導入がはかられたときに、
組合でこの制度がどういうものかを端的に示すチラシを作成しました。

 

新人事制度について作成したチラシはコチラ!

(調整中)

 

 

以下に

@     「新人事制度にかかわる申し入れ」

A「新人事制度撤回を求める理事長宛要請文」

B理事会が新人事制度の導入を撤回したこと

を伝える書記局ニュースの文面

2005年度第11号)

を掲載します。

 

@新人事制度にかかわる申し入れ

 

2006126

 

桜美林学園理事長

佐藤 東洋士 殿

 

桜美林学園教職員組合

委員長  藤田 実

 

 

貴理事会が20064月実施を予定している新人事制度の導入を直ちに白紙撤回することを要求します。

その理由は、以下の通りです。

 

1.                今回提案された新人事制度は、組合の試算によれば、現行賃金と比較して、係長級まで標準年数で昇格した場合で、生涯賃金で2200万円、課長級まで標準年数で昇格した場合で600万円もの減収となります。

 

一方、部長級まで標準年数で昇格した場合、1000万円も増収となります。係長・課長級の給与が現行よりも大幅な減収となる今回の新人事制度は、労働条件の一方的な不利益変更であり、組合としては導入を認めることはできません。

 

2.            今回提案されている人事制度は、キャリアパス制度、育成制度、給与制度が「相互に関連し合っている」ものである以上、本人事制度に係わるいかなる制度の実施も認めることはできません。

 

3.            なお、今回の申し入れにもかかわらず、貴理事会が本制度の試行、もしくは実施にふみきった場合、組合は第三者機関への訴えを含む手段を講ぜざるを得ないことを念のため申し添えるものです。

 

以 上

A新人事制度撤回を求める 理事長宛要請文

 

 突然、お手紙を差し上げることをお許しください。私たち桜美林学園教職員組合は、現在、新人事制度をめぐって団体交渉を継続中ですが、理事長がご出席になっておられないと言うこともあり、私たちの真意が伝わっていないのではないかと危惧し、お手紙を差し上げることにした次第です。

 

 私たちが、今回の新人事制度の白紙撤回を申し入れた最大の理由は、労働条件の不利益変更となる賃金制度の改変が含まれているからなのです。新人事制度の賃金制度は、組合の試算では、現行制度と比べて、一般職(現行5等級、新制度で6等級)約6000万円、一般職(現行4等級、新制度で5等級)約3500万円、係長級で約2100万円、課長級で約550万円の減収になる一方、部長級で1000万円の増収になります。(この想定は22歳で入職し、新人事制度の想定に基づく標準的な昇格コースをたどった場合の生涯賃金計算です)。この賃金の大幅な減収は、単に現役時代だけの賃金だけではなく、退職後の生活を支える退職金や年金も大きく減額することを意味します。このように一般職員にとって大幅な減収となる今回の制度は労働条件の一方的変更であり、職員の生活に大きな影響を与えることになる以上、私たちとしては導入を認めることができないのは当然ではないでしょうか。

 

 また私たちは、新人事制度導入の説明会やこの間の団体交渉での学園の対応は不誠実であると考えています。団体交渉担当者は、説明会でも団体交渉でも、当初、この新人事制度の導入の目的は「職員の育成」であるとして、人件費の抑制の側面があることを隠していました。117日の団体交渉で私たちが係長級、課長級で大幅な減収となる試算を示し、新人事制度は人件費抑制の側面があることを指摘して、初めてそれを認めました。担当者は調整給があることを理由に、「今より給与が下がることはない」と説明しましたが、これも従来の制度に基づくならば、定期昇給により昇給があるわけですから、定昇がなくなる分減収になります。これも私たちが指摘して初めて認めたことです。

 

 こうして私たちが新人事制度には賃金切り下げの側面があることを指摘すると、担当者は初めてそれを認めるとともに、賃金切り下げの根拠に学園財政の悪化を持ち出しました。これに対して、学園財政が悪化しているなら、「なぜ部長級の給与を上げるのか」という私たちの当然の疑問には、答えることはできませんでした。

 このように交渉担当者の説明は、生涯賃金では減収となるという新人事制度に伴うマイナス面を隠して、導入しようとしたものであり、きわめて不誠実なものだと言わざるを得ません。もし本当に学園の維持・発展のために、新人事制度の導入が必要ならば、賃金制度でのマイナス面も含めて説明し、理解を得る必要があるのではないでしょうか。ところが交渉担当者は、私たちに指摘されるまで、一切説明しようとはしませんでした。

 

 なお団体交渉では、従来と異なり当事者能力のある常務理事が出席しておらず、私たちの主張を直接理事長や理事会に伝えることができない状態にあることも、私たちが不誠実であると考える理由の一つです。団体交渉に理事が出席せず、実質的に交渉権限のない者に委任することは、労働委員会でも不誠実団交と見なされる可能性があるということを、ご理解頂きたいと思います。この意味からも、次回団交より当事者能力ある理事の出席を強く要望いたします。

 

 私たちは、制度の説明会を開催してから半年余りの今年4月からの導入は余りにも拙速であることを主張してきました。しかし、学園は制度の設計を始めてから3年が経過していることや私たちに案を提示してから1年がたつことを理由に、4月から導入しようとする姿勢をくずしておりません。しかし、私たちに提示してから1年、実質的な交渉が始まってからわずか半年余りで導入するというのは余りにも拙速です。民間企業でも、人事制度の大幅な改変は労働組合に制度案を提示してから数年の交渉を経て実現するというのが一般的です。

 職員の生活に大きな影響を及ぼす人事制度や賃金制度の改定は、労働組合との交渉を通じて、職員の十分な理解を得てから実施に至るというのが一般的であることを考えると、4月からの実施は余りにも拙速であると言わざるを得ません。

 

 私たちは、いたずらに労使関係を悪化させようと考えているわけではありません。理事長もご存じのように、私たちと学園は、組合結成以来30年以上にわたって良好な労使関係を形成してきました。時に緊張関係が生じたときにも、私たちと学園は粘り強く交渉し、妥結の途を探ってきました。私たちは長い労使交渉の歴史の中で、対立を先鋭化させないような関係を築いてきたということができると思います。しかし組合との合意なしに、4月より新人事制度を導入するならば、私たちもそれ相応の措置を執らざるを得ないことになります。このように対立が激化していくことは、本学園の労使関係に大きな禍根を残すことになるのではないかと危惧しており、労使の努力で可能な限り対立の激化を避けたいと考えております。

 

 本学園には、これまで一貫して教員と職員との関係、職員同士の関係が密接でフレンドリーな校風が息づいています。本学の図書館報『三到図書館ニュース』第56号に岡村短大学長が大学設置申請時に図書館の蔵書目録を教職員総出で作成した思い出を書いておりますが、教職員分け隔てなく一致して学園発展のために力を尽くすというのが本学園の伝統なのではないでしょうか。もちろん、理事長が日頃より指摘しているように、本学園はすでに小さな学園ではなく、さまざまな面で組織的・合理的・効率的な運営が必要になっているというのは事実です。しかし大きな賃金格差をもたらす今回の新人事制度は、従来から培ってきた上下の区別なく、職員間で協力して学園の運営に当たるという良き本学園の伝統を掘り崩すことになるのではないでしょうか。

 

 大学危機と言われる今日こそ、良好な労使関係を保ち、対立を先鋭化させないようにしなければならないのは論をまちません。そのためにも、新人事制度の4月実施を思いとどまり、「交渉継続中の実施はしない」「組合との合意抜きの人事制度の実施はしない」との賢明なご判断をお願いしたく、文をしたためた次第です。

何卒よろしくお願い申し上げます。

 

2006315

 

 

学校法人桜美林学園理事長 佐藤 東洋士 様

 

                         桜美林学園教職員組合

                          中央執行委員長  藤田 実

                          中央執行副委員長 安藤正子

                                   八柳ひろ子

                          書記長      二橋 智

                          中央執行委員   渥美 剛

                                   佐藤憲正

                                   大中 真

                                   日高 春昭

                                   若井 一朗

                                   細谷 亮子

                                   

B理事会、三位一体の新人事制度の導入を撤回

 

 理事会はこれまで、新人事制度はあくまで@育成制度、A給与制度、Bキャリアパス制度の3つをセットにしたものであり、2006年4月から導入するとしてきました。しかし今回の団交で、理事会は以下のような回答を提示しました。

 (1)新年度からは育成指針シートを用いた育成制度のみを先行導入する。

 (2)新給与制度とキャリアパス制度については、今後、理事会において再度検討を加えて成案を得た後、改めて提案する。しかし、その時期は決まってはいない。 

 そして、@初年度のスケジュールとしては、5月の連休明けに職員に対し育成制度について改めて説明し、5月中に各部署において目標設定のための面談を行い、9月に中間面談、12月に育成面談を行う予定であること、

A目標設定は、まず各部署で部課長が説明した上で、各職員が2〜3の自主的な目標を設定して面談を行うこと、

B嘱託、契約職員については育成指針シートを雇用の継続審査の資料として用いないこと,などが確認されました。

 これまで、育成制度を給与制度やキャリアパス制度にリンクさせることに反対してきた組合は、この提案を、組合の要求を一定程度認めたものであると評価し受け入れました。もちろん、組合は今後も、育成制度のあり方やその運用の仕方について、現場の声を聞きながら、理事会に対して積極的に提案・要求を行っていきます。

 

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